暮らしにかかわる金融庁の基礎知識
金融庁という省庁の名前を知っている人は多いでしょうが、金融庁が具体的にどのような業務をしているところなのか、詳しく知っている人はそれ程多くないのではないでしょうか。
それは、国民が金融庁の窓口で手続きをしたりする機会がないからだと言え、ニュースや新聞、ドラマなどで耳にすることがほとんどだからです。
そもそも金融庁は、旧大蔵省が担っていた役割を財務省と分担する形で誕生した行政機関。その際に、上部組織が内閣府に変更されました。これは旧大蔵省が持っていた強大な権力を分散するための措置だったとも言われています。
金融庁とは、私たちの暮らしにとって、どのような役割を担い、具体的に、何をしているところなのでしょうか。
金融庁の役割とは
そもそも金融庁が誕生した背景には、投機的な投資が乱発されたことでバブル景気の原因のひとつになったことが挙げられます。
今後そのようなことが起きないように、国が銀行や証券会社などの金融機関を監視・監督するためにできたのです。
金融庁には、大切な3つの役割があります。ひとつは、日本国内の金融制度について企画立案や法案の整備を行なうこと。私たちがお金を貸したり借りたりする金融活動においての、法律やルールを作るのです。
金融庁が主に扱っている法律は、銀行法、保険業法、金融商品取引法などの金融機関に関する法律になります。
2つ目は、銀行や証券会社などの金融機関が、法を遵守し適正な業務を行なっているかどうかを検査し、監督する役割です。
金融は国の経済にとって、多大なる影響を及ぼすものなので、それを支える金融機関がルールを守り、健全に動いているかどうかを管理することは、とても大切な役割と言えます。
3つ目は、株式などの取引に対して、監視する役割です。
投資家が安心して資産運用し、金融市場が活発に運営されるために、ルールを決めて、しっかり目を光らせています。
また、金融庁は金融機関の検査や監督だけでなく、それが守られていない場合は、処罰や改善命令を出すための大きな権限も持っているのが特徴です。
金融庁とはどのような組織なのか
金融庁は日本の行政機関のひとつであり、内閣府の外局として、内閣総理大臣の所轄の下にあります。
幹部には、内閣府特命担当大臣(金融担当)と、内閣府副大臣(金融担当)、内閣府大臣政務官(金融担当)が就任。また、役人のトップは金融庁長官で、その下に金融国際審議官が置かれているのです。
そして、総務企画局、検査局、監督局、証券取引等監視委員会、公認会計士・監査審査会からなる内部部局があります。
総務企画局
金融機関が適正な業務を行なうための、法律や決まりなどを企画・立案する部署。また、公正な金融市場が、活発に運営されるために整備する部署でもあるのです。さらには、庁内の各部署や国会などを、まとめる窓口としても機能しています。
検査局
金融機関が、銀行法や保険業法などの法律や決まりを守って、健全な業務を行なっているかどうかを検査する部署です。
監督局
金融機関が、法律や決まりを守って、正しく業務を行なっているかどうかを、日々目を光らせて監督する部署になります。
証券取引等監視委員会
証券市場を調査し、インサイダー取引などの不正な行為がないかどうかを、しっかり監督する部署です。
公認会計士・監査審査会
企業の会計などを扱う公認会計士や、監査法人などが、正しく監査業務を行なっているかどうかを監視する部署。
金融庁と財務省の違い
上述したように、金融庁は、旧大蔵省の強大な権力を分散するために、その業務の一部を財務省から分離するような形で生まれた行政機関です。
もともとは、金融に関する業務のすべてを旧大蔵省が担っていました。現在は金融庁の業務となっている民間の金融機関の検査・監督なども、財務省の業務のひとつだったのです。
もともと、財務省ではその業務を担当していた金融監督庁、そして旧大蔵省で金融制度の法や決まりを企画立案していた金融企画局を合わせて発足したのが金融庁。
2000年(平成12年)の出来事なので、当時のニュースを覚えている方も多いのではないでしょうか。このことで、財務省の仕事は、日本の国の金庫番と経理を担当する業務となりました。
もともとは旧大蔵省の一部門を独立させて生まれた省なので、国の予算を作る他に、税制を企画、管理し、国庫や国債の管理、1円、5円、10円、50円、100円、500円からなる貨幣の発行などを担当します。
また、財務省は「省」で金融庁は「庁」ですが、省は国家行政組織法により、内閣の下で行政事務をつかさどる機関です。
そして、庁はその省や府に属するとされ、金融庁は財務省ではなく、内閣府に属しています。財務省に属するのは、映画やドラマなどで脱税を摘発するマルサ(国税局査察部)がよく知られている国税庁です。
金融庁の検査とは
金融庁では、民間の金融機関が法や決まりを守って運営されているかどうか、法律に基づいて検査します。この検査では、金融庁がどの金融機関の検査をいつするかを決定。年に1~3回程度行ないます。どこの金融機関でも、年間に最低でも1回は検査があるのです。
また、検査が行なわれる金融機関は、金融庁のホームページで誰でも確認することができます。
金融庁による銀行の調査では、銀行がしっかりと法や決まりを守っているかどうかを検査し、販売している金融商品が、説明通りにかつ適切に行なわれているかなど、様々な項目で検査され、適切な指導も行なわれるのが特徴。
金融庁が発足した2000年(平成12年)当時は、バブル崩壊の余波による不良債権処理や銀行の財政状況の改善が重要な問題点でした。
しかし、それらも順調に解決されるにつれて、もともとの金融庁の目的であった、預金者である国民の保護や、法が守られているかどうかに、検査の主題が変わってきています。
この金融庁の検査は、これまで検査局が行なってきたのですが、金融庁ではこの検査局をいずれ廃止することが決定しました。
ただ、金融機関に対する立ち入り調査権を放棄するわけではなく、検査を監督局に譲る形で、金融機関の独立性を求め、一方的に検査するのではなく、金融機関との対話を重視することを目的とすると言われているのです。
金融庁の行なう業務改善命令について
金融庁は金融機関が法と決まりを守って業務を行なっているかどうかなどの検査を行ないますが、その結果、法に違反していたり、システムに問題があったり、財務内容が悪化していたりなどする場合、業務改善命令を出す権利を持っています。
これは、銀行法、証券取引法、投資顧問業法などを根拠とした命令で、どの法律が適用されるかは、命令を出す金融機関がどこかによって決まるものです。
業務改善命令は、バブル崩壊時に問題となった金融機関の不適切な経営を防ぎ、金融機関が健全に運営されることを目的とする強力な指導。
実際には、オンラインシステムの障害事故などについて指導をしたり、経営悪化が見られたりした場合のコストカットや経営の改善の指導をすると言われています。命令の内容は、一般に公開される場合と非公開となる場合があるのが特徴。
命令の内容を公開したときに、その金融機関の経営の改善について利点があるかどうかを判断し、公開か非公開かが決められるわけです。
多くは、法に違反した場合の命令は公開され、財務に関する命令は非公開となると言われています。業務改善命令を受けた金融機関は、改善計画を金融庁に示し、その計画に対する許可が金融庁により出されたら、計画に沿って改善する義務があるのです。
金融庁と日本銀行の関係
日本の金融政策と言ったら、日本銀行が市場操作をして、日本の経済を安定させているというイメージがあるかもしれません。ですが金融庁も「金融」と名の付く官庁である限り、何らかの関連性があるようにも見えます。金融庁と日本銀行の関係は、どのようなものになっているのでしょうか。
日本銀行は国内唯一の発券銀行であり、民間の金融機関を通じて、紙幣の流通量を調整することで金融市場を操作しています。
これは政府の指示で行なわれるのですが、必ずしも指示に従うだけではありません。
日本銀行は独立した法人なので、独立性は確保され、政府の指示に逆らうことも、要求を却下することも許され、金融政策に関する決定権を持っています。
金融庁との関係も同様で、金融庁が日本銀行の経営方針や金融政策に関与することはありません。
もちろん、民間の金融機関に行なうような検査や指導も行なわれず、逆に日本銀行が行なう金融政策に沿う企画立案をし、法を定めているのです。
また、日本銀行には考査と呼ばれる、民間の金融機関の経営内容を把握するための各種点検があります。
これは金融庁の検査のような行政権限はないものの、実際に行なわれることは、その金融機関にとって、考査も検査もそれ程の違いはなく、負担も同等程度のものとなると言われているのが現状です。
金融庁と日本の経済はどう関係しているか
金融庁は日本の行政機関のひとつであり、日本の経済に深くかかわる金融をつかさどる機関です。これまで、バブル崩壊で抱えた不良債権などの問題を解決し、日本経済の再生と発展を支えてきました。
このことにより、日本の投資家や企業などはもちろんですが、諸外国の投資家や企業の、深い信頼を勝ち得ることができたと言われています。
国の経済に対する信頼というのは、簡単に形成できるものではありませんが、その国の政情や経済状況によっては、一夜で崩壊してしまうことも。
その信頼を得ることができた金融庁は、日本の経済に深いかかわりがあると言えるのです。
金融庁は日本の金融機関を指導監督し、国民の経済活動が健全に行なわれるために金融機関が守らなければならない法や決まりを企画立案することでも、日本経済にかかわっています。
また、投資家や企業などが投資しやすい市場を開拓し、活発な経済活動を行なえるための金融商品の企画にも深くかかわり、経済活動の活性化を促進してきました。
また、日本経済の土台となって支え、国民の生活に安定をもたらすという大切な役割を果たした金融庁は、検査局の廃止をはじめとした組織再編に向けて、様々な模索をしているところです。
日本の経済を支える金融庁は、国民の安定した生活にとって、なくてはならない重要な行政機関と言えます。
※この記事は、2018年3月時点の情報に基づいて作成されています。
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